嘘つきなワタシと年下カレシ【完】
今日の自習室は混んでいる。
佐々君を取り囲む女子たちの群れが激しい。
今日は数学の授業が控えているから、授業前にちょっと早く来て佐々君との時間を楽しんでいるのだろう。
私はお財布を持って席を立つと、二階へと続く階段脇にある自販機に足を向けた。
自習室からも近い。
私は何を飲もうかと迷いながら自販機の前で悩んでいると、背後に人の気配を感じた。
「まりなさん、どうして今朝は電話に出てくれなかったの?」
低くくて心地よい声が、背後からしてくる。
佐々君だ。
「それにベランダにも出てくれなかった。俺、待ってたのに」
残念そうな声をあげた。
「コーヒーとリンゴジュース、紅茶で迷ってるの。どれにしようかなあ?」
私はあからさまに大きな声を出す。
「無視しないで。質問に答えてよ、まりなさん」
「元カレと元鞘しようかなって考えてるの。だから電話に出なかった。ベランダにも出なかった。これでオッケー?」
ぱぱっと自販機にコインを投入すると、おしるこのボタンを押した。
本当はホットコーヒーを飲みたいのに。
コーヒーのボタンの近くには、佐々君の手があったから……。押せなかった。
佐々君の手から一番遠いボタン。それがおしるこだった。
佐々君を取り囲む女子たちの群れが激しい。
今日は数学の授業が控えているから、授業前にちょっと早く来て佐々君との時間を楽しんでいるのだろう。
私はお財布を持って席を立つと、二階へと続く階段脇にある自販機に足を向けた。
自習室からも近い。
私は何を飲もうかと迷いながら自販機の前で悩んでいると、背後に人の気配を感じた。
「まりなさん、どうして今朝は電話に出てくれなかったの?」
低くくて心地よい声が、背後からしてくる。
佐々君だ。
「それにベランダにも出てくれなかった。俺、待ってたのに」
残念そうな声をあげた。
「コーヒーとリンゴジュース、紅茶で迷ってるの。どれにしようかなあ?」
私はあからさまに大きな声を出す。
「無視しないで。質問に答えてよ、まりなさん」
「元カレと元鞘しようかなって考えてるの。だから電話に出なかった。ベランダにも出なかった。これでオッケー?」
ぱぱっと自販機にコインを投入すると、おしるこのボタンを押した。
本当はホットコーヒーを飲みたいのに。
コーヒーのボタンの近くには、佐々君の手があったから……。押せなかった。
佐々君の手から一番遠いボタン。それがおしるこだった。