嘘つきなワタシと年下カレシ【完】
「山村さん、目が充血してるのに肌が綺麗なのは、とうとう一線を越えたのかな?」

 書類のコピーをしている私の真後ろに立った相田先生が冷たく言い放った。

「なんのことだか……」

 私は首を傾げる。

「丸わかりだよ、まりな。首筋にキスマークが二つ。昨日までなかったのに。後ろにあったから着替える時に気づけなかったんだね」

 諒が指先と首筋を二か所ほど突いた。

 突かれた場所に、きっとキスマークがあるのだろう。

 私は手で首筋を隠すと、諒に振り返った。

「私がどんな私生活を送ろうと、相田先生には関係ないですよね?」

「俺の生徒だから、全く無関係とは言えない。未成年と寝ておいて、罪の意識はないのかな?」

「誰かさんのせいで、罪の意識が崩壊したみたい」

 私はコピー機から、用紙を取ると、諒から離れた。

 自分の席に座ると、深呼吸をした。

『罪の意識』

 全く無いといえば嘘にある。

 でもそれ以上に、私は佐々君が好きだ。傍にいたい。

 佐々君との間にあったガラスを割った。

 割りにきてくれたのは佐々君だけど、割れたガラスを踏み越えて距離を縮めたのは私だ。

 私は佐々君と恋愛をする。

 誰になんと言われとも、私はこの想いを貫くんだ。

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