イケメン男子は女の子!!



気だるげにドアへと歩けば、少し離れた所に1人の女の子が少し俯き気味に立っていた



『...何か用?』




一言そう言えば、パッと俺の方を向いたその子の顔はほんのり赤かった



「...っ、あ、あの!これ!」




真っ赤になりながら俺に何かを差し出してくる



見れば、何かの紙だった



それを差し出している手は、微かに震えていた




...さすがに受け取らないのはな、と思いその紙を受け取れば、




「で、では!失礼します...!」




そう言いながら小走りで去っていくその子の背中を見てから、その紙を開く




[今日の昼休み、中庭に来てください!]




とだけ、女の子らしい丸い文字で書かれていた




内心、はぁ...と溜息を吐いてその紙をポケットに突っ込み、教室へと戻る




悠「...お、早かったな!何だったんだ?」




自分の席へと座れば、すかさず悠冴が話し掛けてきた




『...別に。大した用事じゃなかった』




そう口では言ったが、この手紙の意味なんて、あの子の顔と内容で大体予想はついていた



...そこまで俺も鈍くはない




自慢じゃないが、告白なんて数え切れない程されてきた




そのせいで、自分の容姿が他より整っているという事は理解している




でも、俺は仮にも女だ




それに応えられる訳もない




傷付くのは俺じゃなくて、相手だ



期待させる様なことはしたくねぇから、きっぱり断っている




そんな俺の言葉に、悠冴も勘づいたのか、それ以上は何も言ってこなかった





...悠冴は馬鹿だが、別に頭が悪い訳じゃない



ちゃんと空気も読める





『...眠ぃ、寝る。昼休みになったら起こせ』




そう言ってから、机に突っ伏す




悠「おぉ!分かった」




その声を聞いて、完全に意識が途絶えた





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