【完】恋のキューピットは山田君!
なぜなら、その金髪碧眼の美少年が、私
の腕を掴んだから。
え、なに?
私英語とか喋れないんですけども!
だけど。
「あんたが、百千美姫?」
彼の口から発せられたのは、流れるよう
に滑らかな英語なんかじゃなく。
その顔には全く似つかわしくない、流暢
な日本語だった。
つまり、日本語なら私だって理解できる
訳で。──私の聞き間違いじゃなければ
、この美少年は今、確かに私の名前を呼
んだ。
「あんた、百千美姫かってきいてんだけ
ど」
その端整な顔を僅かに歪めると、もう一
度そう尋ねてきた美少年。
……聞き間違いじゃなかった。
「い、一応、百千美姫って名前ですけど
……」
おずおずとそう言うと、獲物でも見つけ
たかのようにニヤリと笑った美少年。