【完】恋のキューピットは山田君!
「美姫さん」
部活に行こうとした私をひき止める、い
つもより数倍優しい声。
私はそんな声の持ち主に、鋭い視線を寄
越した。
「レオン君……メール読んだ?話かけな
いでっていったはずでしょ?」
「それは部活まででしょ?だって部活で
は話さないと作戦が……もがっ!?」
なんのためらいもなく作戦の事を口にし
ようとした山田君の口を慌てて塞ぐ。
案の定、周りからは疑惑の眼差しを向け
られていた。
「……ちょっと来て!」
私がそう言って山田君の手を引っ張って
教室から出ると、「おおっ!!」という
どよめきが何故か起きたのだった。
「──ちょっと、なんなのあんた!」
更衣室の前まで来ると、私は山田君の手
を離してそう言った。
山田君は、ケロッとした顔で私を見てい
る。