【完】恋のキューピットは山田君!
だけど山田君はクワッと目を見開いて、
ぶるぶるとおぞましい物でも見たかのよ
うに震え出した。
「冗談じゃねぇ……!あんな服、着れる
訳がねーだろバカ!」
「ああ、うんごめん……。もう聞かない
。もう聞かないから……」
どんな服なんだ……。
逆にそこまで過剰な反応を取られると、
気になるんですけど。
ていうかもう、この人と話してても埒が
あかない気がする。
そう思った私は、公園の出口の方へ身体
を向けた。
「美姫、どこいくんだよ」
「家だよ。私、もう帰るから。あなたも
ちゃんと家に帰りなよ」
そんな目立つ髪色してたら、すぐに補導
されちゃうからね。
多分きっと、この不思議な少年に会うこ
とはもう無いだろう。