【完】恋のキューピットは山田君!
クリスマス、鳴り止まない鼓動
「さっむーい!!」
教室のドアを乱暴に開け放ち、そう言い
ながら私に抱きついてきた愛璃。
そんな愛璃は鼻の先を赤くして、ふるふ
る震えていた。
「おはよ、愛璃。だけど急に突進してく
るのはやめてもらえるとありがたいな」
「ん~、美姫ちんあったかーい」
「……聞いてる?」
ふにゃりと笑いながら、頬擦りしてくる
愛璃。
気付けばもう十二月。
冬にはいりだしてから、愛璃はこうやっ
て私に毎朝抱きつくようになっていた。
……可愛いから、別に良いけどね。
ただ──……。
「う、羨ましい……!」
「私も王子に抱き締められたい~っ!」
愛璃が抱きつくたびに、女の子からの視
線が痛いんだけど。