【完】恋のキューピットは山田君!
早く早くー、なんて純粋な笑顔で言われ
たら、断れる訳もなく。
「じゃあ……失礼します」
私はおずおずと、先輩の隣へと座った。
──その瞬間、ぐっと強まる先輩の香り
。それだけで、心臓が早鐘をうつ。
ああもう、こんな状態で冷静に映画なん
て見られるわけがない……!
──と、思ったのだけど。
「……。」
「……すー…すー……」
映画が始まって、二十分。
先輩は、爆睡していた。
横で寝息を立てる先輩が気になって、違
う意味で映画に集中出来ない。
ていうかよくこんな状況で爆睡なんか出
来るな。
「……疲れてんのかな」