【完】恋のキューピットは山田君!
だけど抗議しても、浴びるだけで痛い視
線しか返ってこなさそうなので、自重し
ておく。
でもまあ確かに、溶かして再び固めたチ
ョコレートを、「私の手作りなんです!
」と言って渡すのはちょっと詐欺っぽい
かも。
「でもバレンタインとか今まで無縁だっ
たし。ていうかそこまでいうなら、山田
君が私に教えてよ」
そうだよ。それいいじゃん。
私だって、作った事がないから作れない
わけで、教えてもらえばそれなりに出来
るかもしれないし。
「は?俺が?」
「うん!ちなみに山田君、料理は出来る
?」
「料理する度にキッチンが全壊するくら
いには」
「……。」
だめだ。使えん、この男。
ていうかキッチン全壊ってなにそれ。料
理しただけでどうしたらそうなっちゃう
のよ。むしろそれ、才能だよ。
「多分、俺に頼んでも無駄だと思うけど
」