【完】恋のキューピットは山田君!
玉砕覚悟のバレンタインデー。
2月13日、日曜日。
いざ、決戦の日。
「美姫ち~ん……気合い十分なのはいい
んだけど……チョコレート、焦げてるよ
?」
「え?……うわっ!」
愛璃の言葉に、慌てて火を止める。
だけどもう手遅れで、鍋の中のチョコレ
ートは、焦げて固まっていた。
現在、愛璃のお家にてチョコレートケー
キ作成中。
しかし……こんな初めから失敗してしま
うとは……!
「もー、チョコレートは直火じゃだめだ
よ、湯煎して溶かすんだって」
「ゆ、湯煎??」
まず湯煎という言葉をしらない。
頭にクエスチョンマークをたくさん並べ
る私に、呆れながらも優しく手順を教え
てくれる愛璃。
愛璃がこんなに頼もしく、かっこよく思
えた事って、今まであったっけ……。
「──じゃああとは、冷やして完成だね
!」