【完】恋のキューピットは山田君!
「……いつまでアホ面して固まってんだ
よ」
そんな山田君の声でハッと我に返ったと
きには、もう店員さんは居なくなってい
た。
「な、なんでカップルなんて嘘……!」
「別に良いだろ。美姫だってオムライス
食べたがってたし。嘘ついたからって、
罰金とかされるわけでもねーし」
「そ、それはそうだけど……」
でもなんか、…恥ずかしいんだもん。
「誰かクラスの子が居て、誤解でもされ
たら……」
「そんな偶然、無いだろ。……ていうか
別に俺は誤解されても……」
「え?何?」
最後の方、聞こえなかったんだけど。
もう一回言って、と頼むと、山田君はプ
イッとそっぽを向いて、ぜってー言わね
ぇ、と言った。
「お待たせしましたー、ラブケチャオム
ライスですー」
やがて、さっきとは別の店員さんが運ん
できてくれた、二つのオムライス。
見たところ、普通のオムライスだけど。