【完】恋のキューピットは山田君!
女子五人の内、一人だけは経験者だった
けど、あとの四人は未経験だったから、
一から教えなくてはいけない。
だけど皆、やる気はありそうだ、なんて
思いながら、一年生の女の子達に、色々
と教えていると。
不意に、どこからか視線を感じて、私は
そちらを振り向いた。
すると、一年生の男の子の一人と、バチ
っと視線が絡んだ。
その男の子は、私と目が合うと、真っ赤
になりながら、慌てたように顔を逸らし
た。
……なんだったんだろう。
その意味を知るのは、部活が終わってか
らの事だった。
「──せ、先輩っ!」
不意に、先ほど目が合った男の子に呼び
止められて、一瞬、"先輩"というのが自
分の事を指しているんだと気付かなかっ
た。
あ、先輩って私の事か。