【完】恋のキューピットは山田君!
誰かに"先輩"と呼ばれるのも、後輩を持
つのも、一年ぶりの事だったので、なん
だか慣れない。
「どうかしたの?えっと……」
「み、三橋良太(みはしりょうた)です
!」
「あ、三橋君ね。了解」
さすがに名前までは覚えきれてないんだ
よね。ちゃんと覚えないと。
三橋君は私と同じくらいの身長の、童顔
な可愛い感じの男の子。
仮入部の時から弓道部に来てたから顔は
知っていたけど、名前までは知らなかっ
た。そもそも、話したのもこれが初めて
だ。
「……もしかして、部長探してる?大川
先輩なら、多分──」
「ち、違うんです!」
顔を真っ赤にさせて、そう叫ぶ三橋君。
そういえば、さっきも真っ赤だった。も
しかして、赤面症だったりするのかな。
とりあえず、別に先輩の事を探してる訳
じゃないらしい。
「お、俺は……百千先輩に用があって」