【完】恋のキューピットは山田君!
それから、山田君はハッと我に返ったか
のように、二度瞬いて。
それから、口元を歪めてちょっと笑った
。
「……へぇ、良かったじゃん。次の恋の
兆しかもな」
そう言われた瞬間、チクリと胸が痛んだ
。
「しかも向こうから告白してきたって事
は、美姫がそいつの事好きになれば、も
う完璧に両想いじゃん。……俺も、仕事
がやっと終わるしな」
ズキン。
……今度は、さっきよりも鈍く痛んだ。
「デート?いいじゃん。行けば?」
───プツン。
その瞬間、何かが切れる音がした。
「……っ行くよ。行ってやるわよ、デー
ト!」
半ば逆ギレするようにそう叫んで、山田
君の顔も見ずに部屋から飛び出た。