【完】恋のキューピットは山田君!
ああでも、気持ちが無いのに、頷くのは
勿論ナシだけど。
顔が熱い。
手が震えてる。
本当は、今すぐここから逃げ出したいく
らい。
山田君は、暫くフリーズしていたかと思
うと、不意にその瞳に、何かを抑え込む
ような激しい色を映して。
やがて、目を伏せて、私から逸らした。
「……いきなり、なんの冗談だよ美姫。
俺を告白の練習台に使うのは良いけど、
前もって言えよな」
「……ふ、ふざけないで!」
思わず叫んでいた。
酷い。そんな言い方って、あんまりだ。
「冗談なわけ無いでしょ!人の告白を、
無かったことにしようとすんな馬鹿!」
どれだけ恥ずかしかったか、あんたは知
らないんだ。
今も、手の震えは止まらないのに。