【完】恋のキューピットは山田君!
翌日、部活中にいきなりそう叫び出した
私に、近くに居た先輩が驚いたように飛
びはねた。
「い、いきなりどうしたんだよ美姫…」
よほどビックリしたのか、片手で胸の辺
りを押さえながらそう言う先輩。
そんな先輩に、なんでもないです、と私
は仏頂面で言い捨てた。
ムカつく。山田君の馬鹿。
山田君は、乙女心をわかってない。
あんな風に頭撫でられたりして優しくさ
れたら、諦められるものも諦められない
。
ただ、胸が苦しいだけだよ。
「……っ、」
うわ、ヤバい。
なんかちょっと、泣けてきたかも。
「先輩!ちょっと抜けます!!」
「え、ちょ、美姫?」
早口で先輩にそう言って、道場から飛び
出す。