【完】恋のキューピットは山田君!
そしてそのまま、溢れてくる涙を止めよ
うと、水道まで走っていこうと道場から
出た直後。
──ドンッ!
「きゃっ!」
肩に何かがぶつかった衝撃と、小さな悲
鳴が聞こえてきて、私は慌ててそちらを
向いた。
そこには、他校の制服を着た女の子が、
しりもちをついていた。
わっ、ぶつかっちゃったんだ!
「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?
」
「は、はい……こちらこそすいません」
慌てて手を差しのべると、ちょっと困っ
たように笑って、私の手を掴む女の子。
こ、こんな可憐な女の子を転ばしてしま
うとは!と罪悪感でいっぱいになったと
き、ふと、女の子の顔に違和感。
あれ……この顔、どこかで──。
「あ、先輩の彼女さん……!?」
「え?」