【完】恋のキューピットは山田君!
そもそも、あの男の子は誰だったんだろ
う。
「俺達は飛ばされたんだよ。スイに」
「"スイ"?」
聞いたこともないその言葉に、首を傾げ
る。
「美姫も見ただろ、狐姿の子供。あいつ
だよ」
「あの男の子、スイっていうんだ……」
「あいつは俺の親父の右腕みたいな奴で
、可愛い顔してかなりのやり手なんだよ
。普通の奴じゃ、俺を天界に飛ばすなん
て出来ねぇ」
「そうなんだ……」
もしかして山田君が、時間が無いって言
ってたのは、スイが来るのを分かってた
からなのかな。
「俺が法を犯したことに気付いた親父が
寄越したんだろう。……とりあえず、こ
こから逃げよう」
「──逃がしませんよ、レオン」
山田君の言葉に返事をしたのは、私の声
じゃなくて。
突然聞こえてきたその声に、山田君が顔
をひきつらせた。
「スイ……」