【完】恋のキューピットは山田君!
「いっ……!」
相当痛かったらしく、私から手を離し、
頭を抱え込む山田君。
そんな山田君をゴミでも見るような目で
見下ろしているのは──スイだった。
スイには、辞書程の分厚さの本が手にし
てあり、あれで叩かれたのかと思うと山
田君に同情する。御愁傷様です。
涙目になった山田君は、キッ、とスイを
睨み付けた。
「俺を殺す気か!?スイ!」
「僕はレオンが死んでも一向に構いませ
んが。でもこのくらいじゃ死にませんよ
」
ふん、というようにそう言うスイ。
背丈も見た目も子供なのに、しゃべり方
や視線が大人びていて、下手したら山田
君より大人なんじゃないかと思う。
それから、スイは、私に視線を映すと、
ニッコリと笑った。
その瞬間、子供らしいあどけなさが出て
、なんというか……めちゃくちゃ可愛か
った。正真正銘の天使だった。