【完】恋のキューピットは山田君!
そんな声が聞こえてきて、ひょいっと横
に先輩の顔が現れたから、ビックリして
しまった。
もちろん、先輩の周りにはもう、キラキ
ラは飛び交っていない。
「ちょ、急に現れないで下さい!」
私がそう言って先輩を少しにらむと、先
輩はちょっと笑った。
「ごめんごめん。まさかそんな驚かれる
とは思ってなくて。だって美姫、いつも
と違うんだもん」
「……私はいつも通りですけど」
「そんなことないよ。俺にはわかる。美
姫、何か悩んでんねー?」
悩み……。
そりゃ、あのキューピットが来てから、
胃が痛くなるくらい悩まされてるけど。
でもそんなこと、先輩に言えないし。
「まあ、ちょっと」
そう言うと、何故か先輩の目がキラキラ
と輝きだして。
「それって、さっき呟いてた好きな人っ
てやつ!?」