【完】恋のキューピットは山田君!
「レオンが素直にお礼を言うなんて気持
ち悪いです。キモいです」
「……なんでわざわざ略して二回言った
んだよ」
苦笑いしながらそう言う山田君と、照れ
たようにそっぽを向くスイが可愛くて、
思わず小さく笑った。
「じゃあ美姫、行くぞ」
そして、スイが部屋から出ていって暫く
したあと、山田君がそう言って私の腕を
掴んだ。
「……ねえ、どこいくの?日本には戻れ
ないんじゃなかったの?」
「……俺たちが下界にいく方法は二つあ
る。俺の親父に飛ばしてもらうか、下界
に通じる、扉に入るか」
「扉……?」
「そう。その扉は、エデンの森っていう
所にあって、俺達はこれからそこに行く
。んで、日本に帰る」
私に説明しながらも、ずんずん歩いてい
く山田君。
「え、だってお父さんの許可とか貰って
ないじゃん。いいの?」
「許可なんて必要ない。ていうか貰える
訳、ないし。このままじゃ俺達は引き離
される……お前だって、そんなの嫌だろ
?」