【完】恋のキューピットは山田君!
さらっとそう言ってのける山田君。
そして、何がなんだかわからない内に─
─。
浮いた。
「ちょ!!山田君!浮いてる!」
耳元でギャーギャー騒ぐ私を、鬱陶しげ
に横目で見る山田君。
「飛ぶっつってんだからそりゃ浮くだろ
。つかまだ十センチくらいしか浮いてな
いし」
十センチも浮いてるよ!
あり得ないよなにこれ!!
と感動だか驚愕だかよくわからない感情
に興奮していると、不意に、山田君の翼
が左右にバサッと広がって。
いくつか抜け落ちた金色がかった羽が、
ふわりと私の頬を撫でていった。
「──ちゃんと掴まってろよ」
そんな幻想的な光景に見惚れたのも束の
間。