【完】恋のキューピットは山田君!






──美姫を好きだと気付いたのは、いつ
だっただろうか。



確かあの時……高校一年生の文化祭の時
にはもう好きだった気がする。



あの時の美姫は、アリスの格好をさせら
れて、普段しないメイクまでして、別人
のように綺麗で、可愛くて。



困る、と思った。



俺は恋のキューピットで、美姫と大川と
の恋を応援する役目があって──なのに




大川になんか見せたくない。

大川との恋なんて、応援したくない。



そんなどろどろした事を考えてしまう、
自分が居て。



一瞬でも、"失恋しちゃえばいい"と思っ
た俺は、最低だと思う。



バレンタイン、美姫が失恋したときも、
本当は嬉しくて仕方がなかった。



告白する勇気も無いくせに、舞い上がる
くらい、嬉しくて。



遊園地、俺は卑怯な手で、美姫に想いを
伝えた。





< 378 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop