【完】恋のキューピットは山田君!
先輩は何故か、勝ち誇ったようなどや顔
をして、
「射てるもんなら射ってみぃ!」
と腰に両手を当ててそう宣言したので、
私のイライラゲージは上がるばかりだっ
た。
しかし悔しいことに、本当に先輩の顔面
に射てるわけがなく。というかそんなこ
としたら大問題なわけで。
先輩もそれをわかってるからこそのどや
顔なんだろう。
「ふふん。降参かな?」
「降参もなにも……。セコいんですよ、
先輩」
「ありがとう。誉め言葉として受け取っ
ておくよ」
塵ほどにも誉めてませんけどね。思い切
り皮肉ですけどね。
でも、どんな嫌味も皮肉も、先輩のポジ
ティブパワーの前には無惨に砕け散る。
……恐るべし、ポジティブパワー。
「あの、てか、ほんとに居ないんですけ
ど、好きな人」