【完】恋のキューピットは山田君!





先輩は何故か、勝ち誇ったようなどや顔
をして、



「射てるもんなら射ってみぃ!」



と腰に両手を当ててそう宣言したので、
私のイライラゲージは上がるばかりだっ
た。



しかし悔しいことに、本当に先輩の顔面
に射てるわけがなく。というかそんなこ
としたら大問題なわけで。



先輩もそれをわかってるからこそのどや
顔なんだろう。



「ふふん。降参かな?」

「降参もなにも……。セコいんですよ、
先輩」

「ありがとう。誉め言葉として受け取っ
ておくよ」



塵ほどにも誉めてませんけどね。思い切
り皮肉ですけどね。



でも、どんな嫌味も皮肉も、先輩のポジ
ティブパワーの前には無惨に砕け散る。



……恐るべし、ポジティブパワー。



「あの、てか、ほんとに居ないんですけ
ど、好きな人」





< 40 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop