【完】恋のキューピットは山田君!
先輩に会いたくなかったから、意識して
徹底的に避けてたのに……まさか先輩か
ら出向くとは!!
先輩は私を見つけると、ずんずんとこち
らに歩いていく。
「せ、先輩……。ここ、他教室ですよ」
「そんなのどうでもいい」
先輩は吐き捨てるようにそう言うと、ま
だ椅子に座ったままだった私の腕を引っ
張り、立ち上がらせた。
「──ちょっと来て」
「っ、」
逃げたくて、ちょっと手首に力を入れて
みるけど、ビクともしなくて。
先輩の目が真剣で、怖かった。
……真剣な先輩は、慣れないから。
そして引っ張られるまま、連れてこられ
たのは人気の少ない、階段下で。
私は、そこで先輩と向かい合っていた。