【完】恋のキューピットは山田君!
「百千さん……」
「え、せ、先輩……?」
なんで近付いてきてるんですか。
ジリジリと追い詰めてくる先輩と、その
分逃げる私。
もう少しで背中が壁にくっついてしまう
、と思ったとき。
──コンコン。
「女子部員ー、着替え終わったー?」
ノックの音と共に、そんな大川先輩の声
が聞こえてきて、目の前の先輩がピタリ
と静止した。
そして。
「王子のお出迎えだわ!」
いきなりそう言ったかと思うと、私の腕
を引っ張り、ドアの前へと立たせた。
そしてなぜか、溢れんばかりの羨望の眼
差しをこちらに向けてくる女子部員。