もし風見鶏が振り向いたならこの世界は違って見えるのだろうか? 【短編】のレビュー一覧
神戸の界隈は学生時代にちょいちょい遊びに出没してたので、なんだかその頃を思い出しました。 うちの場合はそのあと震災があって、湘南に疎開して…と暗黒でしたけど、この二人は違ったのだろうな、とふと感じました。 風見鶏の館、懐かしいなぁ。
きみのうしろを (後ろを振り向く行為自体、わたくし、怖くてたまりませんで。しかしながらこの作品を呼んで、優しいなあ、と思いました。こんなにも“振り向く”という動作に優しさを感じられるとは。良い作品でした)
永遠なんてこの世にはないのだと、僕たちは知っている。 知っているからこそ、脆く不確かな“今”を大切にしたくて、僕たちは少しだけ臆病になる。 風に向かう風見鶏がふと振り向いたとき、世界はどんなふうに見えるのかな。 僕の一歩を踏み出す勇気は、世界をどんなふうに変えていくのかな。 不思議な夢の中で風見鶏が語りかけてくる言葉は、胸の内をふわりとなでて、奥に沈んでいたもやもやを浮かび上がらせ、ひゅうと吹き飛ばしてくれる。 爽やかで清々しい。でも噛みしめながら深く深く味わってみてほしい。そんなお話です。 今いい風吹いてるよ。ちょっと振り向いてごらんよ。 景色はきっとあなたにも、きらきら優しく見えてくるはず。
春一番に吹かれて季節を先取りするもよし 雪の重さに動けず一点を見つめるもよし 突き抜ける風に 空を見上げるのもたまにはいい 振り返ればまた 新しい世界の扉が開くのだから
タイトルからして作者のセンスの良さに心を鷲掴みにされたまま読み進めれば、最後はなんとも爽やかな読後感に包まれました。思わず口の端が持ち上がります。小さな勇気と一歩を踏み出した彼と彼女に。 些細なことだけどとても大切な何かを教え説くのではなく、まるでファンタジーのように感じさせる優しさと柔らかさ。そこから伝わる作者の誠実さ。 このメッセージをたくさんの人に読んでいただきたいです。