ひだまり



「川崎〜!チョコは?」


放課後、日直で残っていたあたしの所に山崎くんが来る。


日誌を書いている手を止めて、カバンからチョコの袋を出す。


「何個もらえんの?」


無邪気に山崎くんは聞いてくる。


「適当にいいよ。お好きなだけどうぞ」


あたしがそう言うと、袋を覗き込みながら、真剣に迷う。


「まずこれでしょ〜…」


そう言って取り出したのは苺のチョコ。


「好きなの?苺」


あたしが言うと、微笑んで首を振る。


「このチョコがハートの形だったから」


「は?ハートが好きなの!?」


驚いてついそう言うと、彼は少し考えてから答える。


「だって今日バレンタインじゃん?」


「え?」


「チョコ欲しいじゃん、やっぱ。ハートの奴」


少し照れながら答える山崎くんを見ていると、つい本音が出そうになる。














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