ひだまり
けれど、不器用なあたしが言ってしまうのは、やっぱり不器用な言葉だった。
「義理じゃ意味無いじゃん。彩ちゃんにはもらわないの?」
山崎くんは平然とした様子で、チョコを選び続ける。
「松坂さんにはもらってないよ。くれるのは川崎だけ〜」
山崎君がおどけたように笑いながら言う。
あたしの気持ちを知ってるのだろうか、こいつは。
そんな気がして、話題を変えようと頭を使う。
「…大学うかったんだって?」
気が付いたらほぼ無意識に問掛けていた。
「誰に聞いたの?……清水?」
少し不機嫌そうな声。
あたしは慌てて答える。
「ごめん。あたしが無理矢理聞いたの。清水は悪くないよ」
山崎くんは無言でチョコをもう2、3個選び、立ち上がる。
「清水と仲いいよな、川崎って」
あたしの方を見ずに、山崎くんは言う。
「え?仲いいのかな?同中だし……」
「チョコありがとね」
あたしが続きを言うのより早く、山崎くんは立ち上がる。
相変わらずあたしの方は見てくれない。
「ばいばい」
そのまま教室を去る。
やっぱり手作りあげあたかったな。