ひだまり
待ち合わせより三十分も早く着いてしまう。
昨日布団に入ってから悩みに悩んだ服。
朝から気合いを入れたメイク。
この前かけたパーマを今日は念入りにセットした。
改札の前の空いたスペースに寄り掛かり、辺りの様子を見渡す。
「ねぇ一人?」
目が合った少し年上の感じの人が声を掛けてくる。
あたしは聞こえなかった振りをして、山崎くんの到着を待つ。
「俺とあそぼ〜よ」
しつこく構ってくるその男があたしの腕を掴む。
耐えかねて、あたしが男の腕を振り払おうとしたときだった。
「何なんすか?」
聞き慣れた声と同時に、腕が解放される。
「こいつ俺のなんで」
そう言った彼はあたしの腕を掴んだまま、駅を後にする。
駅の裏口を出て、近くの公園に入る。
そこで彼はやっとあたしの顔をみて微笑んで言う。
「久しぶり」