ひだまり



公園のベンチに座って、ひたすら沈黙。


聞きたいことはたくさんある。


話したいこともたくさんある。


けど、山崎くんが口を開くのをひたすら待つしかできない。


彼のことを知りたいし、彼を解りたい。


あたしのことを知ってほしいし、もっと彼の中で大きい存在になりたい。


そんなことばかりが頭を過る。


行動は起こせないのに。


「合格おめでと」


彼がやっと口を開いたのは、その一言だった。


顔を上げて彼を見ると、とびきりの笑顔。


差し出された手には、小さな飴玉が二つ。


「ありがと」













< 9 / 10 >

この作品をシェア

pagetop