恋華火
*新しい生活

「おじゃましまぁす…」
靴を脱いで中に入る。
あれから真央の家に行こうとしたんだけど
バスも電車も終電が終わってたから話しながら歩いたんだよね。
20分くらい歩いた気がする。
「ひとり暮らしだって言ったろ、誰もいねーよ」
ポンッと背中を押される。
真央の家は、20階建ての超高級マンション
20階とか怖くて怖くて…
エレベーターが落ちるんじゃないかって
ひやひやした。
真央の家に入った私は家の中を見渡した。
リビングは白と黒の家具で揃えられていて
とても綺麗で大人っぽい部屋だった。
「そこらへんに座っといて」
そう言って真央はキッチンに入っていった。
さっき歩きながら話した時に真央は自分の家族とか
友達とかのことをたくさん話してくれた。
何か、話で真央の両親はめっちゃお金持ちなんだなって思った。
だって、海外で仕事してるって聞いたんだもん。
それに、ここだって超がつく高級マンションだし。
それで真央はたくさん友達がいるってことも
わかった。
高校に行ったら自然とできるもんだよって言ってたけど、私には無理そうだなぁ。
そもそも、高校なんて行く気もなかったし。
前の私は涼さえいてくれればほかは何もいらなかった
涼、今何してるの?
どこにいるの?
なんで私を裏切ったの?
ほんとに、ほんとに大好きだったのに…
「あれっ!?なんでまた泣いてんだよ」
いつの間にか真央はコーヒーの入ったカップを手に持ってたっていた。
「何でもない、ごめんね…」
したを向いて涙を袖で拭う。
めそめそしててもダメだもんね。
「泣いいいよ」
ふわっと私の隣に座った真央。
真央の顔を見るとまた安心してきて
また声をあげて泣いちゃったんだ。
「過去を無理に忘れ用としなくてもいいんだよ
お前は過去を思い出さなくなるような楽しい思い出をこれから作っていけばいいんだよ」
そう言って私が泣き止むまでずーっとその優しい
手で私の背中をさすってくれていた。

「もう大丈夫?」
と、泣きやんだ私に優しく聞いてくれる真央。
「うん…ごめんね、また泣いちゃって…」
そう言ってしたを向いた私に真央はまたポンッて
私の頭を撫でてくれた。
「いいよ、気にせんで。泣きたかったら泣いていい
いつでも、なんでも、辛かったら俺が聞くよ」
真央は優しい。
私はその優しさに助けられたんだ。
ほんとに、真央には感謝しかないなぁ
うんってありがとうって私は真央に言った。

9時くらいに真央は遅刻だけどーって言いながら
学校に行った。
ほんとは心配だから家にいるよっていってくれたけど
私が行ってってお願いしたんだ。
だって、私のせいで真央に迷惑かけたくないんだ。
真央は私にこの家で自由にしといてーって言ってくれた。
でも、何しよう?
…あ、お風呂、入ろう。
私は昨日の汚れたままの私だとゆうことに気づいた。
お風呂ですべてを洗い流そう…
また昨日のことが頭にフラッシュバックしてくる。
私は泣きそうになりながらお風呂場の扉に手をかけた

数分後お風呂から上がった私は真央のジャージを勝手に借りて着た。
「さあ、何しよう?」
ソファーに座って考えるけど何も浮かばない。
だって、携帯も財布も

何もかもあの倉庫に置きっぱだったから。
「んー寝ようかな」
そう考えながらぼーっと天井を見上げる
いろいろありすぎて頭が多分まだ追いついて
ないんだなって、思う。
これから、どうしたらいいんだろう
いつまでも甘えているわけにも行かないし
涼は今どこで何をしているんだろう?
そんなことを考えていたら私はいつの間にか
眠りについていた。
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