唯一の涙
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「それは災難だったな。けどさ、皆に一任されたからには、しっかりやんなきゃ駄目だぞ」
「分かってますよっ。でも…なぁ」
今日は水曜日、それ即ちNO部活ディーという事で……。
私と水野先輩は放課後デートを楽しんでいた。
「どうした?」
「着付けって結構難しくて……中々上達しないんです」
雑誌とかネットとか色々やってはみてるんだけど……。
これが、か・な・り難しい。
こんな事なら、お婆ちゃんから教わっておけば良かったな。
なーんて、今になってそう思うなんて、遅すぎるよね……。
「うち来る?俺の母さん、そういう類の大好物だし」
「え……先輩の家に……ですか?」
水野先輩の家……正直スゴイ興味あるかもっ。
でも事前に約束してなかったし、今から行ったんじゃ家の人に迷惑なんじゃ……。
むむむ……と悩んでいると、先輩が小さく吹き出した。
軽く私の頭を小突いて、優しい笑顔を向ける。
「そんな変な気遣わなくていいんだって。迷惑なんて思ってないし」
先輩は照れたように頬を掻くと、言葉を続けた。
「……それにさ、前から言われてたんだよ。『彼女いるならさっさと家に連れて来い』って。だからさ、俺にとっては願ったり叶ったりって言うか……」
先輩の言葉に顔がボッと熱くなる。
先輩の横顔も、うっすらと赤く染まっていた。