唯一の涙

私がそう言うと、水野先輩は首を傾げた。
近くにあった鏡に自分を映して、茜さんと見比べる。


「そんなに似てるか?」


私は思わず、プッと吹き出した。


「違いますよ。まぁ、顔も似てますけど……っ」


私が言いたかったのは、外見のことじゃない。
他人を思いやるその気持ちが似てるんだって、言いたかった。


「ねぇ、ご飯出来たんだけど?お腹空いたんだけど〜」


既に席に着いた瞬さんが、頬を膨らませながら私達を睨む。
瞬さんの隣には、見たこともない男の子と女の子が座っている。


もしかしてあの二人が、先輩の言っていた妹さんと弟くん?


女の子はふわふわとした髪を後ろで束ねた、中学生くらいの子。
男の子の方は、まだ小学校低学年だろうか。


私のことを、物珍しげにジッと見ていた。


「あぁ……まだ紹介してなかったな。俺の妹と弟」


水野先輩が二人に目を向けると、女の子の方がぺこりと頭を下げた。


「初めまして。妹の奏です」


頬を薄桃色に染めながら、奏ちゃんは笑った。
私も笑い返す。


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