唯一の涙
その隣で男の子が、キラキラとした笑顔を輝かせる。
「オレはね、空!」
「よろしくね奏ちゃん、空くん。私は和歌」
自己紹介も済んだところで、私は先輩の隣に座った。
最後に茜さんが座ると、全員で手を合わせる。
「「「いただきます」」」
テーブルには、所狭しとジャガイモ料理が並ぶ。
スーパーで買った特売のジャガイモ、早速使ったんだね……。
「和歌ちゃん、美味しい?口に合うと良いんだけど」
「とっても、美味しいです」
茜さんの料理はお世辞抜きで美味しかった。
その気になったらレストラン開いて、お金とれるよ。
三十分も経たないうちに、完食。
夕飯を御馳走になったお礼に、後片付けを手伝っていると、時計が眼に入った。
【7:26】
もう辺りも薄暗い。
明日も学校あるし、早く帰らなきゃ。
「茜さん、私そろそろ帰りますね」
最後の食器の水滴を拭うと、茜さんに手渡した。
「あら、もうそんな時間?ごめんなさいね、こんな時間まで引き止めちゃって……ご両親、心配してるでしょ?」
両親と言われて、二人の顔が頭に浮かぶ。
心配……か。してくれてるのかな……自信ないや。
私は茜さんに向かって笑顔を作った。
「大丈夫ですよ、うちの親、物分りいいんで」
そう言うと、私は水野先輩と一緒に玄関を出た。