唯一の涙
「明日休みだったとしても、早く寝なきゃダメ。遅くまで起きてると、身体に悪いんだからね」
「ふ、ふん。いいよ、別に‼」
あ、なんか空くん若干引いてる。
こんな安い脅しが効いてるのか……。
「いい?睡眠不足はね、すっごく恐いんだよ。まずストレスが溜まりやすくなって……」
昨日のテレビ見てて良かった。
まさか、こんなところで役立つとは……。
ビビりまくってる空くんには悪いけど、早く寝なきゃだし。
すごいアバウトな説明だけど、嘘は付いてないし、いいか。
「……と、言うわけ。分かった?」
最後に空くんのにっこりスマイルを真似して締めくくる。
空くんは首が千切れんばかり首を縦に降った。
そして、私の方を一度も振り返ることなく、自分の部屋に走って行く。
「和歌ちゃんの分の布団は、奏の部屋に出しといたから。部屋、二階の右端だから」