唯一の涙
先輩は、無理やり私をマネージャーにしてしまったお詫びと言って、家まで送ってくれた。
「へぇ…俺ん家と近いな。直ぐそこなんだよ、あの橋を渡って右。変だよな、こんだけ近いのに小中と別々の学校だったなんてさ」
ちょうどあの橋辺りに境界線でもあるんだろう。
先輩の小学生姿と中学生姿が頭を通り抜けた。
なんだか変な気分だ。
この人にも小さい頃があったなんて。
「早速、明日の朝から頼むわ。んじゃ、朝6時に迎えに来るから」
えっ、迎え?
「先輩、私一人で大丈夫なんですけど…」
「服装はジャージな」
「迎えに来なくていい「あと、帽子もいるから」…」
この人…わざとやってる?
流石にここまでされたら、私としても黙っているわけにはいかない。
「人の話聞いてますか⁉明日は6時に家を出ます。ジャージと帽子、忘れません。大丈夫ですから迎えは入りません‼‼」