唯一の涙

初日


翌日。



時計の短い針が5、長い針が12を指した時、枕元にある目覚ましがジリリリリッ!と鳴り響いた。



手探りで目覚ましを手繰り寄せる。



「はぁ……もう朝か」



まだ本調子じゃない身体を動かし、昨日の残り物を、朝ご飯として頬張る。
食器を流し台に置いた後、ジャージに身を包んだ。



最後に髪を整えれば、時計の針は5:56を指していた。



ーピンポン♪



「……本当に来たんだ、水野先輩」



信じてなかったわけではないけど、まさかと思った自分がいた。
二度目のチャイムを聞きながら、私はキャップを被って玄関の戸を開けた。



「おはよう」



「おはようございます、先輩」



挨拶もそこそこに、私達は肩を並べて歩き出した。
道中で野球部の内情を、事細かに聞いた。



野球部は現在20人で三年生8人、二年生6人、一年生6人。
練習は朝7時からの1時間と4時から8時の計5時間。



毎週水曜日(NO部活DAYといって、全部活動が休みらしい)だけ休みで、クリスマスも正月も無いに等しいんだって。



マジか……。
それが私の第一声だった。




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