唯一の涙

会話も尽きて、手持ち無沙汰になった私は、何気なく時計を見た。
あと十分もすれば、朝練の終了時刻だ。



「…仮にもマネージャーだし、やることやんないと…」



人数分のタオルとスポドリをスタンバイ。
昼休み、部室の掃除しなきゃ。



汚すぎるし、不衛生。
よくこんな所使えるね、みんな。



ゴキブリじゃないんだから、掃除ぐらいちゃんとしないと。



ーーキーンコーンカーンコーン♪



「全員集合ー!点呼の後一年はグラウンド整備、二三年は着替えて教室に戻れ…以上‼」



「「「有難う御座いました」」」



軍隊みたいに綺麗な並び。
すっごいな……私にはこんなの無理だ。出来っこない。



「お疲れ様でしたー。タオルと飲み物用意したんで、各自取って下さい」



「様になってんじゃん。なんだかんだで楽しそうだし」



誰かにポンっと優しく頭を撫でられた。
この声は……。



「水野先輩……」



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