唯一の涙

「へ……あの…」



「嫌なんだよ。なんか、お前が他の奴と一緒にいたり話したりしてんのが……」



うわ……。先輩、顔真っ赤。
でも、私も先輩に負けないくらい紅いと思う。



だって、こんなにも先輩を見るのが恥ずかしいんだから。



「彼氏でもないのに、こんな事いうの変だけど……やめてくれ」



それだけ言うと先輩はまた歩き出した。
先輩に触られた肩が熱い。それに、異常に速い動悸。



これって……いや、まさか。
あり得ないよ、私が……なんてさ。気の所為だ、そうに決まってる。



何かを振り払うように、私は必死に足を動かした。
水野先輩と離れてしまわないように……。




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