唯一の涙

「晩ご飯どうしよう……何かあったっけな」



部屋で制服をハンガーに吊りながら、頭の中で冷蔵庫の中を思い浮かべる。



卵があと一個残ってたはず。
……それから人参と玉ねぎ、鳥肉も確かあった。



「チャーハンにしよっ、と」



部屋着に着替えると、キッチンに向かった。
慣れた手つきで、次々と野菜を切っていく。



そしてあっという間にレストラン顔負けのチャーハンが完成した。



お皿に移して、お茶を入れて……丸いテーブルの上に置いた。



誰もいない家は何だか心細い。



そう思った私はテレビの電源を入れた。



画面に真っ先に映ったのは、今注目されているサスペンスドラマ。



そう言えばこれ、紀衣が前に面白いって言ってた番組じゃん。



ちょうどいいや。これでも見よう。



「…いただきまーす」



一口頬張って、味わう。



うん……美味しい。



十分ほどで食べ終えた私は、片付けてからお風呂に入る。



それから小一時間ほど勉強したら私の一日はお終いだ。



いつもと変わらない、平凡な毎日。



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