唯一の涙

「お前も今帰り?」



「うんっ、偶然だね!なっちゃんと帰る時間被るなんてさ。和歌ちゃん、朝振りだねぇ〜」



屈託無く笑う蓮美先輩。
私はまた、ぎこちない笑顔を返した。



「知り合いだったか?二人って」



意外……と水野先輩は驚く。



「今日仲良くなったんだぁ!!ねっ、和歌ちゃん」



「……はいっ」



蓮美先輩は悪い人なんかじゃない。
よく分かってるけど、彼女を見るのは正直辛かった。



親し気な二人を見るのが、辛い。



きっとこういうのを【嫉妬】って言うんだろうな。
チクチクと痛い心とは裏腹に、どこか冷静な頭の中で、そう思った。



仲良く言い合いながら帰る二人の背中を、少し後ろから眺める。
そう言えば、幼馴染みなんだっけ。



すごい、水野先輩楽しそうじゃん。



いつもは幸せな時間の筈なのに、今日は苦しかった。





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