唯一の涙

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部活が終わって一人帰っていると、なっちゃんと和歌ちゃんの後ろ姿が見えた。
なんだか良い感じだし、邪魔しない方が良いよね。



一定の距離を保って歩いていたのに、なっちゃんは私の存在に気付いた。



変なところで勘の良いなっちゃん。
『沙良』なんて呼ばれたら、行かなきゃいけないじゃん。



なっちゃんの馬鹿。



和歌ちゃんの気持ちも考えなきゃ、愛想尽かされるよ……。



なんだかんだで後に引けなくなった私は、なっちゃん達と一緒に帰ることになった。



「じゃあな、河原。また明日」



「和歌ちゃん、バイバイっ」



「さようなら、水野先輩、蓮美先輩」



和歌ちゃんは最後までしっかりとした子だった。



たまに後輩で嫌に馴れ馴れしくって、初対面でもタメ口な子がいるけど、和歌ちゃんはそう言った子達とは全然違う。



まあ、初めて話した時に和歌ちゃんの性格、見抜いてたんだけどね。



本当、良い子……。
良い子過ぎて、憎めないよ。



和歌ちゃんもなっちゃんが好きだって、勘で分かった。
そして、和歌ちゃんだって私の気持ちに気付いてる。



変だよね。


憎むべき恋敵なのに、全然恨む気にならないなんて。




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