唯一の涙
*******
部活が終わって一人帰っていると、なっちゃんと和歌ちゃんの後ろ姿が見えた。
なんだか良い感じだし、邪魔しない方が良いよね。
一定の距離を保って歩いていたのに、なっちゃんは私の存在に気付いた。
変なところで勘の良いなっちゃん。
『沙良』なんて呼ばれたら、行かなきゃいけないじゃん。
なっちゃんの馬鹿。
和歌ちゃんの気持ちも考えなきゃ、愛想尽かされるよ……。
なんだかんだで後に引けなくなった私は、なっちゃん達と一緒に帰ることになった。
「じゃあな、河原。また明日」
「和歌ちゃん、バイバイっ」
「さようなら、水野先輩、蓮美先輩」
和歌ちゃんは最後までしっかりとした子だった。
たまに後輩で嫌に馴れ馴れしくって、初対面でもタメ口な子がいるけど、和歌ちゃんはそう言った子達とは全然違う。
まあ、初めて話した時に和歌ちゃんの性格、見抜いてたんだけどね。
本当、良い子……。
良い子過ぎて、憎めないよ。
和歌ちゃんもなっちゃんが好きだって、勘で分かった。
そして、和歌ちゃんだって私の気持ちに気付いてる。
変だよね。
憎むべき恋敵なのに、全然恨む気にならないなんて。