唯一の涙

……言った。


言えた……!‼



私、ちゃんと先輩に気持ち伝えられた。



変な達成感が、私の心を満たしていく。
知らず知らずのうちに入っていた、全身の力が抜ける。



「……先輩」



先輩はずっと下を向いたまま、ピクリとも動かない。
残りの先輩までの距離である三歩を詰めると、私は先輩の顔を覗き込んだ。



「……ぁ……」



「見るなよ、馬鹿」



先輩の顔が、薄く染まっている。
もしかして、照れてる?



先輩がそんな顔したら、私だって……赤くなるしかないじゃん。



「……河原、今のマジで?信じて、良いんだよな」



「もちろん本気です。信じてくれないんですか、先輩」



「好きって男としての好きでいいんだよな……友達としてとか、先輩としての好きとかじゃねぇよな?」



先輩、しつこいよ。



「私、異性として先輩が好き……」



信じてよ、先輩。



先輩が望むなら、何度だって言うよ。
それで貴方が信じてくれるなら、何度だって言ってみせる。



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