唯一の涙
紀衣の家を後にして、あてもなく私は歩き続ける。
ブラブラと目的もなく歩くのは嫌いじゃない。
寧ろ、寄り道しながら、沢山の景色を見るのが私は好きだった。
いつもとは違う風景を見つけることが出来るから。
「……河原?」
自動販売機の影で寝ている猫と戯れていると、聞き覚えのある声が耳に入る。
思わず、猫じゃらしの代わりをしていたリボンを落とした。
「水野先輩……と」
何で……あんたが……。
「何その顔?完全に俺のことを邪魔だと思ってるよね、君」
「……石神先輩」
私は、大好きな人No.1と、会いたくない人No.1の二人に自動販売機の前で会いました。
これは良い夢でしょうか、それとも悪夢でしょうか……。
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「トマトジュースとアイスコーヒー、一つ。河原は?」
「りんごジュースで……」
何で、こうなったんだろう。
何が、私達をこうさせたんだろう。
何故、私は三人仲良くカフェにいるんだろうーー。