唯一の涙
「え、じゃあ先輩は何であんなに……」
途端に先輩の顔が、真っ赤に染まった。
赤くなった顔を隠すように、片手で髪を掻き上げる。
「……やきもち妬いてた」
やきもち……先輩が、私に?
私なんかに?
何だろう……妬いてくれた先輩には悪いけど、すごく嬉しい。
「河原に馴れ馴れしい白石にも、白石からお前を助けた石神にも……とにかく全部にムカついた」
結局、白石にだけ当たっちまったけど……と、先輩は罰が悪そうに頬を掻く。
「先輩って……私のこと「あぁぁぁぁぁあ!……もうっ…めちゃくちゃ…好きだけど⁉」…っ!」
悪いか⁉と変に開き直った先輩に、思わず笑顔が零れる。
「嬉しいです、先輩……とっても」
私、紀衣の家で何を悩んでいたんだろう。
私は先輩が好きーー。
それだけでいいんだ。
恋のことを難しく考え過ぎてたんだ。
人を好きになって、その人を信じていれば、恋は自ずと進んでいく。
それだけなんだ。
「先輩、私も水野先輩のことが好きです。」
好きーー。大好き。
私、先輩に出会えて本当に良かった。
この広い世界で、誰よりも愛しい人に出会えて……。
きっと、これからも先輩だけを想い続ける。
ーー永遠に。