俺と後輩と怪談と。
後ろの人





この春、俺はめでたく高校三年に進級した。


この学校は二年から三年にかけて、クラスが持ち上がりだ。


廊下側、後ろから二番目の自分の席に腰掛け、変わり映えしないクラスメート達を見渡していた。



帰りのHRが終了して間もないためか、ほとんどの生徒が教室で会話を楽しんでいる。



「――ついてますよ。」


それは俺への言葉だったのかは分からない。


けれど後ろからした声に、俺は首だけ振り返った。


後ろの席は空席。


だからこの声の主は必然的に、ドアに背を預けているこの男子生徒という事になる。


「先輩、ついてますよ。」



今度は俺の目を見て言ったのだから、この言葉は俺に向けられたものなんだろう。


先輩、と言うからにはこの男子生徒は後輩という事なのだろう。


そんな事を頭で考えながら、俺は自分の背に触れてみた。


「……何もついてないけど」
「ついてますよ。」


後輩はニッコリと笑った。


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