俺と後輩と怪談と。
「けど、この間言ってたろう?七不思議なんてただの噂だと」
「その通りです。所詮は噂話。ただ……」
楠木は隣を歩く俺を真っ直ぐ見つめ返してきた。
「その噂が真実に変わってしまうこともある。嘘が本当になってしまうこともあるんですよ。」
ね?と真顔から急に笑顔になるから何も言えなくなる。
「………そういうもん?」
「そういうもんです。」
いつも通りのやり取り。
そうこうしているうちに北校舎へとたどり着いた。
「その壁男ってのはどの辺りに出るんだ?」
「そりゃあもちろん、ここです。」
後輩が指差したのは壁。
「いや、そういう事じゃなくて………。もしかして北校舎中の壁?」
「はい。」
なんて、いい笑顔で笑うんだろうか。