俺と後輩と怪談と。
俺はちょっと嫌な予感がして、身体ごと彼に向き直った。
「何が、ついてるって?」
「生(セイ)を持たぬモノ。正確には生を失ってしまったモノ。……幽霊って言った方が分かりやすいですか?」
俺はげんなりと頭を抱えた。
“またか”と。
「……お前、見えるの?」
「ええ、まぁ」
後輩はドアから背を離すと、後ろの席に腰掛けた。
「これは、また……随分と気に入られたようで。先輩の背中に張りつくように憑いてますね。」
面白そうに笑われて、俺は小さく溜息を吐いた。
「…幽霊に気に入られたってな。嬉しくないんだよ」
そうですね、と彼は苦笑した。
幼い頃から、何故かは分からないけれど人でないモノに好かれやすかった。
これは生まれ持ってしまった体質で、自分ではどうしようも出来ないから、そのうち諦めた。
というよりは慣れた、の方が正しい気もする。
だからいきなり“憑かれている”と言われても、慌てたりはしない。
「祓ってあげましょうか?」