俺と後輩と怪談と。
何が起きたって?
そんなのは俺が一番知りたい。
読んで字の如く、後輩が突然消えてしまった。
「楠……木……?」
試しに呼んでみる。
当たり前だけど返事がない。
長い廊下には俺一人だけ。
一体何が、どうなってるって言うんだ?
「楠木……どこだ?」
試しに目の前の壁に触れてみた。
何の変哲もないただの壁。
とりあえず北校舎の中をただひたすら後輩の名を呼んで探し続けた。
結局、見つけられなかった。
21時近くに用務員の人によって学校は閉められ、俺は強制的に学校を追い出された。
明日になれば、またあのいつも通りの笑顔で俺の前に現れるんじゃないかと淡い期待を寄せて、俺は一晩をあかした。